ケントエンジンの自作ECU化
ケントエンジンのECU(インジェクション化)を紹介していきます。
2006年
3月31日
左はトランジスタ技術の付録で92年5月号です。当時からこれをみてECUを自作できないかと思っていたのですが、ケントエンジンをECU化するために調査を開始しました。この記事はH8を使ってMR−2の4AGを自作のコンピュータに置き換えるというものです。右は同じ作者が出版した”電子制御エンジンの基礎・応用”です。現在は絶版ですがここからコピーを買えます。記事の制御方式はスピードデンシティ方式です。
4月1日
ガレージにオークションで買ったAE101の4連スロットルが来ていました。4バルブ用で8250円でした。
残念ながら、インジェクタは燃料の配管がインマニと一体となっているタイプで流用できません。燃料配管が個別になっているタイプのインジェクタを購入する必要があります。
早速、スロットル部をインマニから分離します。スロットルボディは1つ1つがばらばらになります。口径も丁度良さそうです。新たにケント用のインマニを作り、この4連スロットルを付ける予定です。一番端にはスロットルポジションセンサが付いていました。これはそのまま流用できそうです。
<作製予定のECUの仕様>
・制御方式
スロットルスピード方式、MPIー独立噴射方式
学習機能無し
・動作温度範囲
通常のデバイスなので下が−10℃くらいです。
・メインセンサ
スロットルポジションセンサ
クランク角センサ
・補正用補助センサ
大気圧
気温
水温
(バッテリ電圧)
・制御コンピュータ
SH7045(SH2、28MHz)秋月のボードをメインにインジェクタドライバ、センサ入力回路などを追加
・制御OS
TOPPERS1.4X+TINET
・外部インターフェース
シリアル(デバッグ用)
イーサネット(データ通信用)
<克服すべき課題>
・MAP
ドカ851(ウェーバ・マレッリ)のMAPを調査して使用(笑)?
・クランク角センサ
デスビを改造して720度と細かいパルスを出力する光センサを追加?あるいはカムに光センサを追加?
<買うもの>
・SH2ボード
・インジェクタ
・大気圧センサ(NA用のバキュームセンサを流用?)
・水温、気温センサ
<作るもの>
・SH2ボード+インターフェースボード
・クランク角センサ
・デバッグ用エンジンシミュレータボード
・ECU組込みプログラム
・FreeBSD側マップ表示、変更アプリケーションプログラム
<参考URL>
モンキーをインジェクション化
NSRをインジェクション化
(リンク切れ)
Nyaton
E&Eシステム
ビートのマップ切替え
Haltech
(リンク切れ)
ALPHA
(リンク切れ)
自動車
(リンク切れ)
自作ECUは作れるか?
ECU-ROM://DELTA HFIntegrale Evo 1 ’92
マセラッティROM解析プロジェクト
フリーダーにはいばらの道がよく似合う
4月8日
オークションで購入したB16A(VTEC)のインマニ&インジェクタが来ていました。1600ccで160馬力用のインジェクタです。ZC用(1600ccで130馬力)を探していましたが、インマニ付きでこちらの方が安かったです。3100円です。
インジェクタ単体に分解します。下の白いのは吸気温センサです。燃料配管(デリバリ)も流用できそうです。ケントのインマニに合わせてみると間隔がほぼ同じでした。この燃料デリバリはアルミですが、けっこう重いです。インジェクタは通電して動作することを確認しました。
こちらもオークションで購入した、EP71スターレットの負圧センサ、ちょっと古過ぎでしょうか?早速動作テストします。5Vの電源を接続し負圧〜圧力を掛けて電圧が変化することを確認します。正確な測定は会社の真空チャンバ(脱泡器)で行なう予定です。600円でした。
下はお手本にする予定のドカ851のECUです。ウエーバマレッリIAWというもので、制御方式は作りたいECUと同じスロットルスピード方式です。Lツイン不均等点火のエンジンですが、MAPは参考に なりそうです。排気量は1気筒あたり425cc、DOHCの4バルブのエンジン(90馬力くらい?)なので、ケントと違って吸気効率もかなり良いと思われます。ケントエンジン用MAPにするにはかなり低め(0.7〜0.8掛くらい)にする修正する必要があると思います。インジェクタの容量を測り、インジェクタの開閉時間を調べて各回転数とアクセル開度のMAPを調べ、それを元にテスト用初期MAPを作成する予定です。
CPUはMC6803U4CPRです。6800に周辺I/Oを入れたプロセッサ6801の内蔵ROM無しバージョンです。他にMC6840CPR(タイマ)、MC14442P(A/D)が載っています。4MHzの水晶が付いていますが、4分周しているので動作クロックは1MHzです。6800系は同期のバスで1クロックでアドレス出力、フェッチ/データ入出力が完結するので、インテル系の8080などと比べて同じクロックでも実行速度が速いです。ROMから出ている白黒の線は昔、レブリミットを500rpm上げたROMとノーマルのROMを2倍の容量のROMに書いて、外部のスイッチで切替えられるように改造して遊んでいました。たしか10000rpm/10500rpmだったと思います。
4月10日
EP71スターレットの負圧センサを会社へ持って来て特性を測定しました。右は脱泡用のチャンバにセンサと気圧計を
入れたところです。電線を細いものに繋ぎ代えて、蓋のシリコンシールの間に通します。外部に電源とデジボルを用意して測定します。圧力を下げる時は右の真
空ポンプで空気を引き、加圧する場合にはコンプレッサの空気をチャンバ内に送り込みます。真空、加圧とも少しづつ1気圧へ戻って行くので、特定の気圧でデ
ジボルの値を読みメモします。
結果をOpenOfficeのCalcへ入力して棒グラフ化しました。気圧計のフルスケールの930〜1070hPaまで測定しました。結果は3.47〜3.85Vまで約0.38V変
化し、変化はほぼ直線的に変化するようです。本来は負圧計なので気圧計として使うと出力電圧は狭くなります。値は参考書では750mmHg
(1013hPa)で3.6Vとなっています。実際に測った方が少し高くなっているようです。AE86の負圧センサも購入したので、こちらも測定してみま
す。
4月15日
久しぶりに秋葉原に行き、ECU用の部品を買ってきました。耐熱ビニル線です。0.5sqです。
ECU用CPUボード。秋月のSH2ボードとRealTekのLANコントローラ。2個づつ買いました。
20x4行のLCDパネル、バックライト付きです。状態表示に使う予定です。右はH8のLANキットです。TOPPERSのTINETの標準ターゲットボードです。とりあえず標準ターゲット上でネットワークの各プログラムを動作させてその後、SH2へ移行する予定です。
インジェクタ用の電流制限抵抗とLANコントローラ用の変換基板。右はリレー、ホール素子です。変換基板はピッチが違いました(笑)。ホール素子は上限の温度が80℃でエンジンルーム内は無理そうです。8ビットのDAも買っておきました。
単一電源のコンパレータとオペアンプ、8Vの3端子レギュレータ。
こちらは近所の書店で取り寄せしておいた”新電子制御ガソリン噴射”
4月16日
ガレージにオークションで購入したロードスターの燃料ポンプが来ていました。
こちらもオークションで購入した耐圧燃料ホース2mと調整式燃圧レギュレータです。
ロードスターの燃料ポンプを改造します。実験がしやすいようにフランジ部をディスクグラインダで外しました。ポンプと配管の接続が851用で買ったものと異なり、Oリングでそのままポンプと接続されています。
セヴンのフレームの塗装の合間にキットを組み立てました。H8LANキットは完成しました。SH2ボードはコネクタを付けるだけで、ほとんどハンダ付けが終っています。
4月22日
オークションで買ったB16Aのインジェクタです。
前に買った物と抵抗値が全然違います。前のは2.4Ω、今回のものは12Ω何で?
4月25日
上記インジェクタですが、ちょっと調べたところ判りました。以前に買ったもの:CR-X
型式 E-EF8 B16A 160ps:2.4Ωの低抵抗タイプ新しくかったもの:シビック 型式 E-EG6 B16A 170ps:12Ωの高抵抗タイプということで、170馬力のは高抵抗タイプのようです。高抵抗タイプの方が外部に抵抗を付けなくても良いので良いかもしれません。MC6803U4を調べていたらこんなページがありました"BIGTURBO"
フォード・シエラのページみたいです。ウェーバ・マレッリの解析が載っています。ECUのブロック図やメモリマップなどが載ってます。また、6801のエ
ミュレータがあるので使えないか調査をしました。まず、通常のMC6803との違いをデータブックで確認しました。下はモトローラの古いデータブックで
す。MC6803U4が載っていました。
エミュレーションに関係のありそうな違いは内蔵RAMの容量と内蔵のタイマカウンタの機能のようです。
・内蔵RAMは128から192バイトに増量
・タイマが3から6機能へ拡張
・3つのコンペア出力機能拡張
・2つのコンペア入力機能拡張
ということで、タイマ機能がかなり拡張されていることが分かりました。多分このU4というのはECU用として作られたような気がします。
下が6801のエミュレータです。もう10
年以上前に廃棄されていたのを取っておいたものです。6801用ですが、6803もエミュレーションできます。ただし、POD部には通常の6803が載っ
ているため、6803U4で拡張された機能は動作しません。なので、現状ではエミュレータを基板に挿してもたぶん動作しません。ただ、エミュレーションす
るためには基板からプロセッサを外してICソケットにする必要がありますが、この外したプロセッサをPODの6803と交換すると正常に動作するのではな
いかと思います。まあ、色々と外したり付けたりしていると基板やプロセッサが壊れて動かなくなることもままありますので、これをやるにはけっこう勇気がい
ります。予備の基板やプロセッサがあれば直ぐにでもやってみたいですが〜
4月28日
会社の休み時間でインジェクタテスタ用のパルスジェネレータを作ってみました。基板はトラ技の付録のMAXII基板を使います。付録の基板は表面実装部品しか実装されていないので、水晶モジュール、電源、ピンヘッダ等を追加しました。水晶は8MHzです。Verilogで論理を作り、2.5、5、10、20、40mSecの間隔で80%のON時間が出るパルスを60秒出
力するようにします。時間の切替えはコネクタに接続したディジタルスイッチで選択します。電源を入れると動作を開始して60秒で停止します。右の写真は
2.5mSECで60秒(24000パルス)出したところです。ツールはQuartuasを使いますが、8MHzクロックで60Secのような長いシミュ
レーションは時間が掛かり過ぎるため現実的ではありません。正しく動作しているかを確認する短時間で終る論理でシミュレーションを行ない、その後実際に動作させ波形の測定をします。ちなみにカウンタが24002なっているのは電源投入時に2カウントされたためです(笑)。インジェクタのタイミングですが、無効時間が約1mSec、例えば6000回転なら1秒間に100回転しているので、噴射の間隔は20mSecと
いうとになります。20mSecで80%噴射しているということは吸気バルブが開いていない時も噴射していることになります。閉まっているバルブにガソリ
ンをあてて、熱で気化させるというのが本当のところのようです。この後、FETのドライバを追加して規定の燃圧をかけて実際にガソリンを噴射して吐出量を
測る予定です。
4月30日
気温センサの特性を会社の恒温曹に入れて調べました。左は恒温曹の外観です。右は内部で3つのセンサを入れます。左からスカイラインの外気温センサ、シビックの外気温センサ、CRーXの吸気温センサです。
外部に電源とデジボルを用意し、900Ωの抵抗を直列に接続して電圧を測定します。温度は−20〜60℃まで10度刻みで測定しました。
測定結果をOpenOfficeに入れてグラフ化しました。温度の特性はサーミスタなので、ほとんど同じですが、CR−Xの吸気温センサはプラスチックの部分が薄く、応答が速いです。