ケントエンジンの自作ECU化
ケントエンジンのECU(インジェクション化)を紹介していきます。
その2
5月3日
オークションで購入したドカ851のハーネス一式が来ていました。必要な信号線を引き出して外部から観測できるようにする予定です。リレーも2つ付いて5500円でした。
インジェクタテスタの基板の動作検査を行ないます。以前に作製したMAX2のCPLD基板にFETを追加し、実際に高抵抗タイプのインジェクタをドライブして波形を観測しました。CPLDの論理に誤りがあり、60秒間パルス状態で噴射後に、インジェクタが噴射状態で止まるようになっていました(笑)。これは修正する必要があります。右の写真はインジェクタにかかっている電圧です。LOWになっているところが電流が流れてインジェクタが開いている部分で、HIGHの部分は閉じている部分です。LOWからHIGHへ切替わる時に逆起電力でパルス状の電圧が出ます。
5月6日
ケントのインテークマニホールドと4連スロットルの内径を測りました。インマニを作製するにあたり、現状の寸法の測定をします。ケントの吸気の通り道は色々な方向に曲がっていて到底効率が良いとは言えません。左はインマニと4連スロットルの1個分。右はインマニを上から見たところ。
後ろ側から見るとキャブレタが上にあり、吸気はかなりの急角度でエンジンの方へ下がって行きます。
吸気の内径をまとめると以下のようになります。インマニの外側がΦ43mm−>内側がΦ35mm。エンジンヘッド側はΦ35mm。4連スロットルはインマニの外側と同じΦ43mmで丁度合っています。
次は吸気の角度です。下は上と後ろから見たエンジンヘッドと現状のインマニの曲がり方の概略です。ヘッド部では前と後の2つが組みになって放射状に
角度が付いています。さらにインマニ部ではウェーバのキャブレータの間隔に合わせて、全体的に間隔が短くなるように角度が付いています。これに上下の角度
も加算されます。特に、一番後ろの気筒の曲がり方が複雑です。もし、現状と同じ形のインマニを作製するとすると赤矢印で書いたように各気筒のインジェクタ
の噴射の方向がそれぞれ違ってきます。インマニの作製とインジェクタの取り付け方向の設定が難しそうです。もし、インマニを平行に作るとボンネットの穴の方を広げる必要があります。
インジェクタテスタ用の燃料回りを実験しました。ポリタンクにロードスターの燃料ポンプが入る穴を開けて、ガゾリンを入れて、燃圧計と燃圧レギュレータを接続します。リターン側はタンクに戻します。燃料フィルタのことを忘れていました。ミニ用か何か適当なものを調達する必要があります。
燃圧レギュレータの調整ネジを0.3Mpになるように調整します。この時の燃料ポンプの電流を測っておきます。5.2Aでした。60W強、ヘッドライト1個分です。かなり電気食ってます。インバータ駆動すれは無駄な電気を節約できるかもしれません。このポンプは851にも使う予定なのでインバータ駆動の実験する予定です。
5月11日
ECUの周辺IOデバイスについて考察してみます。まずSH2−7045の内蔵IOのうち、インジェクタを4気筒独立噴射とすると足らなくなりそうな、タイマカウンタについて考察してみます。
・7045内蔵のタイマカウンタの数
MTU 5
CMT 2 内1chはToppersで使用
WD 1
Toppersで使用しているCMTの1chは外せませんので、そのまま使用します。WDも
暴走した時に復帰させるために使用します。独立噴射でクランク軸が2回転する間にインジェクタを80%程度まで噴射する必要があると考えると、1個のイン
ジェクタの制御に1個のタイマカウンタが必要になります。MTUを4ch使ってこれを実現します。エンジンの回転数を計測するためにMTUをもう1ch使
います。残りのCMTの1chで点火時期を制御します。全てのタイマカウンタを使ってしまうことになります。加速時の非同期噴射(キャブレータの加速ポン
プの働き)で使用するタイマが無くなってしまいました。ちょっと古いですが、使い馴れていて、その辺に転がっている(笑)8253/54を外部に実装すると16ビットのタイマカウンタが3ch増設できます。点火時期の制御と非同期噴射を8254/53に移動して点火時期制御と非同期噴射はモード0を使います。カウンタ値書き込みで出力がLOWになり、ダウンカウントしてカウンタ値が0になると出力はHIGHになります。同期噴射と非同期噴射の出力は外部でORする必要があります。残りの1chは予備に使います。車速の計測などに使えると思います。CMTはハードウェアで出力信号を出せないので、タイミング待ち用のタイマに使用します。
インジェクタ制御 MTU 4
回転数計測 MTU 1
タイミング待ち用 CMT 1
OSタイマ CMT 1
ウォッチドッグ WD
点火時期制御 8253/54 1
非同期噴射 8253/54 1
予備 8253/54 1
次にADコンバータのch数ですが、7045には4ch入力のADコンバータが2個内蔵されています。これにより、変換をオーバラップさせられます。ECUに取り込むアナログ値は以下になります。これは余裕がありそうです。
メインデータ
・スロットルポジション
補正データ
・大気圧
・吸気温
・水温
・バッテリ電圧
オプション
・排気温
・マップ設定値用ボリューム
・予備
ADコンバータは10ビット(本来10ビットもいらないのですが)の逐次比較型で変換速度は約10μSecで
す。エンジンの回転数とクランク/カムの1回転あたりの時間は以下のようになります。入力するアナログ値のうち、回転数に同期して取り込みが必要なものは
スロットルポジションのみです。それ以外は比較的ゆっくり変化する値なので、タイマ駆動で偶に入力しても問題ありません。このことから変換速度は十分と思われます。
250rpm = 4.17Hz(セルモータによるクランキング?)
240mSec 480mSec
10000rpm = 167Hz(ECUの対応最高回転数)
6mSec 12mSec
以上の機能をまとめると、現状でのブロック図は以下のようになります。LANコントローラはイーサ経由でノートPCと通信し、PC側でマップの参照や変更を行なえるようにします。
5月13日
オークションで購入したシビック(EG6)のインジェクタがきていました。高抵抗タイプです。デリバリ付き2000円でした。
早速分解しました。ハーネスも付いていました。
デリバリに配管も付いています。
こちらもオークションで購入したミニ用の燃料フィルタ(インジェクション用)新品です。
これもオークションで、FC3(RX−7)のクランク角センサの中古です。カム、クランク軸センサに使えないか調べる予定です。
会社で使わなくなった丸型コネクタを貰ってきました。16ピンと4ピンです。ロックできてECUの取出しコネクタに使えそうです。
デリバリパイプを1個分フライスで切断してインジェクタテスタ用インジェクタホルダを作製します。切断面には8mmのメクラネジを取り付けておきます。
インジェクタ保持するホルダを5mm厚のアルミからCNCで切りだします。完成したホルダを切断したデリバリパイプに4mmの全ネジで取り付けます。
5月14日
ミニの燃料フィルタですが、インジェクタテスタに入れようと思ったのですが、手持ちの配管の部品では口径が合いません。下の写真は3/8のジョイントですが、半周くらいしか入りません。径は大体合っているようですが、ピッチが大きいようです。ん〜困った!
取りあえず、燃料フィルタ無しで噴射実験をしてみました。昨日作製したインジェクタホルダを以前に作った燃料配管に接続し、燃圧をかけて、インジェクタテスタ基板(パルスジェネレータ)でドライブしました。途中でスイッチを変えて噴射のサイクルを早くしています。インジェクタの中には切れの悪いものもあるようです。ゴミが入っているのか、噴射を止めてもガソリンが出るものがあります。14Mバイトの動画です。
5月26日
オークションで購入したランチャ・インテグラーレのECUです。1万円でした。851と同じウェーバマレッリです。851のECUと比べるとメモリが足らなくなったためか、ROM/RAMボードが別ボードにしてケーブルで接続されています。インジェクタドライバの数やスピードデンシティ方式なのでアナログのSIPのモジュールの数も多いです。基板やCPU、タイマ、ADコンバータなどは同様型番です。もし、851のが壊れた時には使えます。
ROM/RAMボードの下にあるCPU(6803U4)をハンダ吸取り器を使って基板から外します。外したCPUは保護用の丸ピンのソケットに挿しておきます。防振/防湿のコーティングが基板全体に掛かっていてハンダが取りにくいです。
早速、外したCPUをICEのポッドにあるノーマルの6803と交換します。ちゃんと6803U4でも動作しました。これで851のECUをICEできるようになるはずです。検証は外したCPU部にソケットを実装して、ICEし動作を確認します。ECUはセンサ類がないとダイアグでエラーになるところまでは動作すはずです。時間があったら実験してみます。
6月3日
オークションで購入したEG6のインジェクタ(高抵抗)です。これで3セット高抵抗タイプが揃ったのでこの中から特性を調べて良い物を選択する予定です。
6月5日
インテグラーレのECUに12Vを給電して、ICEをしてみます。外したCPUの代りにICソケットをハンダ付けしてそこにICEのケーブルを挿します。
デバッカ内で6803の動作モードを2に設定した後、プログラムカウンタから逆アセンブラリストを取ったのが左写真です。プログラムらしきリストが表示されます。早速、トレースの開始番地を現在のプログラムカウンタに設定してGO実行し、トレース結果を
表示したのが右写真です。トレースも正常に動作しているように見えます。トレース機能はCPUの各信号線をICE本体内のメモリに記憶、解析しCPUがど
のような動作をしたかを表示する機能です。別にサンプリングトレースという機能を使うと俗にいうマップトレースに近い情報が得られるはずです。
6月9日
ミニの燃料フィルタのフィッテングですが、どうもピッチゲージで調べるとネジ径16mm、ピッチは1.5(細目)のようです。旋盤でアルミ棒を16mmP1.5で削って入れてみると入りました。奥側がテーパでつき合せでシートしているようです。
早速、アルミの丸棒からフィッテングを作ってみました。スパナで回せるように対面を平らに加工します。内径は6mmで穴開けします。2個作りフィルタに固定します。来週、燃圧をかけて漏れが無いか実験します。
6月10日
ロードスターの燃料ポンプの電流値を下げるためにインバータ駆動の実験を行ないました。予め作っておいた555(タイマIC)とパワーFETのインバータで実験用の燃料ポンプを駆動します。 FETがちゃんとONしていないようで、かなり発熱していました。調整が必要です。
燃圧が0.3Mp以下に落ちる少し上の値が3.8Aでした。この時のパルス幅は目測で大体90%くらいでしょうか?そのままバッテリに繋ぐと5.2Aなので73%の電流で0.3Mpの燃圧が出るということになります。このポンプは851にも使うので筐体に入れてちゃんとモジュール化してみたいです。