アルドウィーノを使った
オープンソース、オープンハードの
ローコストECU
テージのECUが壊れているみたいなので
Speeduino(STM32)に装換しました。
その18:
クランキング時のノイズ解析
ワンウェイクラッチの交換
2025年
1月1日
フェイスブックで使ったお正月用の画像です。
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クランキング時のセルモータのノイズの続きです。手持ちのノーマルモードフィルタをECUの電源に入れてみました。
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フィルタは村田製の電源用のノーマルモードフィルタBNX−002−01です。
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効果は無いようです。赤枠の異常パルスが出ています。
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続いて、コモンモードフィルタをアマゾンから入手してECUの電源に入れてみます。
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アマゾンで購入した電源用のコモンモードフィルタです。
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こちらも効果は無いようです。赤枠の異常パルスが出ています。後ろの集中しているパルスも気になります。
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1月2日
手持ちの昇降圧レギュレータをECUの電源に入れてみます。
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これも効果は無いようです。別電源なので、点火の駆動パルスの尖頭電圧が安定化されていますが、赤枠の異常パルスが出ています。
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1月4日
クランキング時のセルモータのノイズの続きです。ECU電源を車体とは別バッテリで確認します。
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こちらも効果は無いようです。別バッテリなので、点火の駆動パルスの尖頭電圧が安定化されていますが、緑枠の異常パルスが出ています。
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続いて、セルモータ電源を車体とは別のバッテリで確認します。スタータリレーの代わりに緑枠のキルスイッチを使ってセルモータを回します。
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これも同様に効果は無いようです。大きな電流が流れないのでECUの3.3V電源のノイズは低減していますが、緑枠の異常パルスが出ています。
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もう一度、プライマリ/セカンダリパルスのにノイズが乗っていないことを確認します。下はレコードモードの波形ですが、ノイズは無く正常に見えます。リピートモードでパルストリガを使うと指定時間以下のパルス幅でトリガが掛けられます。念のため、プライマリ/セカンダリパルスとも、通常のパルス幅より短いパルスでトリガが掛からないことを確認しました。通常、プライマリ/セカンダリパルスにノイズが入れば、点火パルスの位置ズレは起こりますが、複数パルスが出ることは無いと思われます。ノイズ影響が無い状態を探して、そこから始めた方が良さそうです。
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1月6日
念のため、コントローラボードをアルドウィーノMEGAに交換して確認します。
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コントローラには無関係で、緑枠の異常パルスが出ています。
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1月8日
コントローラボードはSTM32に戻して、ノイズの影響が無い状態を探します。初めに実車のハーネスを使わず、エンジンエミュレータでECUを駆動します。
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ECU/エンジンエミュレーの電源に外部のACアダプタ、セルモータの電源を外部バッテリの時です。ノイズの影響は無く、点火パルスは正常です。
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続いて、ECU/エンジンエミュレータの電源に車体バッテリを使い、セルモータの電源は外部バッテリの時です。ノイズの影響は無く、点火パルスは正常です。
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続いて、ECU/エンジンエミュレータとセルモータの双方とも車体バッテリを使った時です。セルモータが回っている時は3.3V電源にプラスマイナスとも100mV位のノイズが乗っています。セルモータの大電流によって、12Vが電圧降下しているため、点火パルスの尖頭電圧が変動していますが、点火パルスは正常です。念のため、複数回で波形取得しましたが、問題ありませんでした。
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上の波形を拡大してみます。セルモータが回っていても、点火パルスは単発で正常です。今後の作業としてはエンジンエミュレータの配線を部分的に実車のハーネスに入れ替えて行けば、どこかで異常動作になるはずです。初めは、プライマリ/セカンダリパルスの配線を実車と入れ替えてみます。
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1月9日
以前、実車でクランキング時の進角をマイナスに設定すると、点火パルスが異常動作しましたが、机上のエンジンエミュレータでも再現できました。
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赤枠の点火パルスが乱れて異常です。条件は以下です。
・プライマリパルスに実車を模した不均等のアナログディスカバリのパターンジェネレータの波形を使用。
・クランキング回転数は400rpmに設定。
・クランキング時の進角は−5に設定。
・点火マップはアイドリング時1000rpmで0に設定。
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因みに、この時のSDログを取りましたが、進角は0未満にはならないです。エンジンステータスはクランキング中に一瞬だけ始動状態が記録されていました。クランキング時の進角がー5、アイドリング時の進角が0なので、これが切り替わる時に異常になるのかと思いましたが、クランキング回転数を800rpmに設定しても同様に異常でした。プライマリパルスが均等パルスなら正常に動作します。
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ログの進角は0ですが、TunerStudioの進角ゲージの表示は赤枠のように正しく、マイナス表示されています。問題のクランキング時のノイズによる異常動作はクランキング時の進角を0に設定しても起き、この件と無関係と思われます。
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1月10日
クランキング時のセルモータのノイズの続きです。ライマリ/セカンダリパルスの配線を実車と入れ替える前に、簡単に確認できる、実車を模した不均等プライマリパルスとエンジンエミュレータで確認します。赤枠のジャックからパルスを入力します。電源はECU/エンジンエミュレータとセルモータの双方とも車体バッテリです。
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セルモータの大電流によって3.3V電源にノイズが乗り、点火パルスの尖頭電圧も変動していますが、点火パルスは正常です。プライマリの不均等パルスは原因では無いようです。ただ、ここで心配していたワンウェイクラッチがすべり始めました。元々、始動性が余り良くないのと、ここに来て冬場の重いクランキングの多用でダメになったようです。
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ワンウェイクラッチの型番を調べておきます。701.4.019.1Aです。
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ムルチストラーダ1100(2007湿式)と同じことを確認しておきます。701.4.019.1Aで同一型番です。ネットで検索すると、ST3の部品として出てきます。価格は3万円くらいですが、購入は一旦延期して、一度分解してスプリングの緩みを確認します。
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1月11日
ドカのワンウェイクラッチをフォーラムで検索すると、始動性が悪く、ワンウェイクラッチが壊れる事も多いことが分かります。また、ワンウェイクラッチの型番も多数あり混乱しています。まとめてみました。
701.4.001.1A : Paso906、907ie、900SS、M900、916、748($)
2相ジェネレータ車
701.4.007.1A : 900SSie、M900ie、ST2、4、4s、748、916、996、749、999、M695
3相ジェネレータ車
”この2つの部品番号は互換性があり”との記述あり。
701.4.019.1A : ST3、ST3s、MTS1100(2007) (+)<ーこれ
湿式車
701.4.008.1A : 848、1098、MTS1100(2008) (*)
MTS1100は湿式、1098は乾式
701.4.023.1A : HM1100、MTS1100(2009) (*)
MTS1100は湿式
701.4.035.1A : MTS1200、Diavel (*)
($)=851と同じ
(+)=TESI−3D LE 湿式<ーこれ
(*)=TESI−3D 2008 乾式
(*)は共通との記述あり
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別の通販のWEBページでは701.4.035.1AはST3にも適合するとも書いてあります。
以下は適合車種の抜粋です。
Hypermotard 1100
Hypermotard 950
Monster 1100
Monster 1200
Monster 821
Multistrada 1100 <ー2007年式の湿式がTESI−3D LEのエンジンと同じ
Multistrada 1200
Scrambler 1100
Sport touring ST3 <ーこれはTESI−3D LE用と同じ型番
Streetfighter 1100
ということは701.4.035.1Aと701.4.019.1Aは同じ部品でしょうか?難しいです。
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ebayでワンウェイクラッチのセットが売っています。セットで12000円と凄く安いです。ムルチストラーダ1100(2007)に適合と書いてあります。

古い851用型番701.4.001.1Aで検索すると、以下のページが出てきました。これによると、1998年くらいに部品が変わっているようです。多分、これを堺に新旧の2種類しか無いのではと思われます。
以下、説明です。
おおよそ1992〜1998年ぐらいまでのDUCATI車両用。
SUPERBIKE 748 851 888 916 −1998
MONSTER 400 600 750 900 −1997
SUPER SPORT 400 600 750 900 −1997
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ワンウェイクラッチはジェネレータカバー側(左)にあり、ジェネレータカバーを外すにはSSTが必要です。851はガスケット紙だったのでプラハンで叩けばマグネットの力だけなので、手で外せましたが、最近はシリコンの液体ガスケットでシールされているので、外すのが難しいです。オリジナルのSSTは鉄製で結構な値段ですが、アルミ製の安い物も売っています。3000円位ですが、簡単に作れそうなので、20mm厚のアルミの端材から作ってみます。フライス盤で適当な厚みで切り出しました。
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厚手方向に6.5mmの穴開けと、10mmのタップでネジ切りして完成です。
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早速、取り付けてみました。良いようです。10mmのボルトを回せばジェネレータカバーが外せるはすです。
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1月12日
無事、ジェネレータカバーが外れました。中央がジェネレータマグネット兼フライホイールです。
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カバーの裏側には3相コイルがあります。
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フライホイールのセンターナットはインパクトで外れそうですが、締める時に固定できないと、トルク管理ができないです。サービスマニュアルで確認すると、270NMでエンジンの中では最大です。これには回り止めのSSTがあり、型番は88713.2036です。ebayで1万4千円位で買えますが、送料が8千円と高いです。作りは単純なので、これも作れそうです。因みに、固定用のアームの先の2ヶ所の穴はクランクケースのサイドスタンドの取り付け部です。
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1月13日
ジェネレータのフライホイールの直径は約150mmです。回り止めSSTの図面をQcadで作成しました。厚みのある鉄材をフライスで切るのは時間がかかるので、平板を溶接して作ります。とりあえず、フライホイール周りを作ってから、後でクランクケースの固定アームを追加します。
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近所のホームセンタで購入した、固定ピン用の12mmの8.8高強度キャップボルトと長ナットです。
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幅25mm、厚み12mmのSS400はいつもの、ヤフーオークションストアの横山テクノに発注しました。
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アリエクスプレスでもワンウェイクラッチのセットが売っていました。ebayでは送料込みで14000円くらいですが、こちらは11000円で3000円安く買えます。セットで交換すれば摩擦部が一新されて良いですが、安売りセットなので精度/耐久性が心配です。
以下、適合車種の抜粋です。
ハイパーモタード1100標準2008、2009
モンスター1100エボ2011
モンスター1100 2009、2010
モンスター1100標準2009
ムチストラーダ1100 2007、2008 <ーこれ
ムルチストラーダ1200 スポーツ2010
スポーツリングST3 2007 <ーこれ
スポーツリングST3 abs 2007
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1月17日
フライホイールの回り止めSST作製の続きです。ヤフーオークションでもフライホイールの回り止めSSTが売ってました。送料無料で8000円です。手間を考えたら、買った方が良かったかもしれません(笑)。
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前の図面はフライホイールの直径が間違っていたので修正しました。半径150mmになってました、直径150mmが正解です。
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ヤフーオークションで購入のSS400平板が来たので、早速、加工開始しました。幅25mm、12mm厚の鉄棒です。フライスで角度を付けて切断していきます。裏表で工夫すると切断ヶ所を5つにできます。
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原寸大で印刷した図面の上に乗せてみます、良いようです。
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ディスクグラインダで開先処理をして、溶接の準備完了です。
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ジェネレータカバーを外したので、アリエクスプレスで固定用の64チタンの6mmキャップボルトを購入しました。長さ25mmが165円で日本より大分安いです。
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25mmを10本と35mmが3本で、送料込みで3438円でした。35mmは2本を30mmに短くします。到着予定が2月中だったのですが、普通に1週間くらいで来ました。
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1月18日
フライホイールの回り止めSST作製の続きです。溶接に使うAC100Vの半自動ノンガスMIGですが、どうも溶接ワイヤーが引っ掛かります。半自動機はリールに巻いてある溶接ワイヤーをモータでケーブル内を通してトーチまで送るのですが、本体からトーチまでが長いので、送りが重いのが原因と思われます。トーチを分解したところ、簡単にケーブルを短くできる構造だったので、思い切って半分にしてみたところ、調子良くなりました。
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ケーブルの長さを半分したケーブルをセットした半自動MIG溶接機です。インバータ駆動なので大きいトランスは無く軽いです。また、ある程度電源から離れて延長コードを使っても大丈夫です。2023年に16000円くらいで購入しましたが、今はもっと安いのが出ているみたいです。
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1月19日
角度を調整しながら溶接完了しました。スパッタはベルトグラインダで取ります。
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無事、フライホイールに勘合しました。後はクランクケースに固定するアームを作製する必要があります。
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1月20日
フライホイールの回り止めSST作製の続きです。アームに11mmの穴を2ヶ所開け、クランクケースのサイドスタンドの固定穴に取り付けて、回り止めとの間の(赤矢印)を測ります。
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測った材料を切り出して、アームを回り止めに溶接しました。SST完成です。
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早速、フライホイールを取り外します。メンテナンスマニュアルによると、ヒートガンでナットの温度を上げてネジロック剤?を軟化させたから、外すように指定されています。ヒートガンで5分ほど加熱してナットが回りました。
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無事、フライホイールが外れました。この中にワンウェイクラッチが入っています。
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分解して、ワ
ンウェイクラッチを取り出します。ワンウェイクラッチのバネは切れて、コマがバラバラになりました。
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下はスタータドリブンギアです。ワンウェイクラッチの内側と接触します。摩擦面が荒れています。
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こちらはフランジです。ワンウェイクラッチの外側と接触します。こちらも摩擦面が荒れています。スプリングが緩くなってい
るだけかと思いましたが、3つとも交換が必要です(泣)。調達はヤフーオークションで中古の購入(オリジナル品ですが、消耗具合が気になります)。また、アリエクスプレスで新品の購入(新品ですが、こちらは品質が気になります)が考えられます。始動性が改善されれば、オリジナルの新品を購入するのも有りだと思います。
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1月21日
アリエクスプレスのワンウェイクラッチのセットを発注しました。送料は2700円です。2月5日頃に到着予定です。余りにも安いのでちょっと心配ですが(笑)。ヤフーオークションでも中古が出ているので、後で入札してみます。
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