削り出しカーボン11/29号
その13:燃調が濃い件の調査
配線の整理、カーボンステーの作製
2023年
6月7日
燃調濃い件を調査中ですが、基本的な所を確認しておきます。初めにカムタイミングです。駆動プ―リのマーカを合わせます。
垂直、水平ともプーリのマークは合っていました。
続いて、エンジンのコンプレッションです。水平、垂直とも1000kPa前後で、時間をおいても直ぐに下がらず、これも正常でした。
続いて、インマニの負圧のバランスです。負圧計にダンパーが無いので脈流で振動して、見にくいですが、2000回転の時、水平、垂直とも最高値が20cmHg位に振って、一致しています。
川崎のショップから純正ホイールが戻って来ました。
フロントホイールのベアリングです。捨てないで送ってもらうように、お願いしておきました。NTNの型番は6820LUです。
外形125mm、内径100mm、厚み13mmの深溝でした。以下はミスミサイトで8469円です。
O2センサを単体にするため、センサコネクタのピンをハウジングから抜くために1極のハウジングのカットモデルを作って、ラッチの位置を確認しました。赤枠を上げると、ピン抜きで抜けることを確認しました
6月8日
O2センサのハウジングからピンを抜くことができ、バンク間の狭い隙間を通っているケーブル抜いて単体にできました。
ECUはWalbroのECUC−9です。
O2センサのハーネスはセンサコネクタとECUコネクタ間で導通してるいることを確認しました。
ECUコネクタのピン位置はアプリリアのフォーラムで似ているECUC1が使われているようで、配置図がありました。3番ピンがO2センサの信号線です。
一方、テージはワークショップマニュアルに配線図があります。配線が1色で見にくいので、電源系を色分けして修正中です。LambdaがO2センサです。
センサの単体になったので型番を確認します。反射して見にくいですが、先頭がOZA591と見えます。ハイフンに続き、BB3です。
NTKの刻印と7B20はデートコードでしょうか?WEBで”OZA591ーBB3”で検索すると直ぐに見つかります。一般的なO2センサです。ネジM18、ピッチ1.5mm、適合するレンチは22mmです。
タンクが外れているので、エンジン温センサの抵抗を測かります。27℃の室温で約3KΩです。
6月9日
インジェクタ付近の点検のため、エアクリーナボックスを取り外しました。ブリーザパイプが細くて1mm位隙間が開いています。ここはエアクリーナの内側なので良くありません。
ホームセンタで1mm厚の耐油ゴムシートを買って来ました。
6月10日
ブリーザホースの両端にゴムを巻いてステンレスワイヤで固定しました。ちょっとキツメに入るようになりました。
配線がごちゃごちゃしているので、整理しています。基本動作とは関係ないサブコンとマルチスパークユニットは取り外しました。
フロントウインカをLED化した時にハイフラ防止に抵抗を追加したようです。27Ωが付いてます。ICフラッシャに交換すれば抵抗を外せるので、アマゾンで注文しておきました。
6月11日
基本動作確認の続きです。スロットルポジションセンサを確認しました。型番はマグネティ・マレッリのPF1C/00です。
型番で検索するとネットにPDFの仕様書がありました。抵抗値は1.2KΩの110度回転です。
コネクタにABCの刻印があります。本体から切り離した状態で端子の抵抗を測ります。全閉の時A−B間1.12KΩ、A−C間1.3KΩ、B−C間2.05KΩ。全開の時、A−B間1.12KΩ、A−C間2.04KΩ、B−C間1.12KΩでした。A−B間は仕様書の抵抗値1.2KΩで合っていますが、A−CとB−C間の合計が1.2KΩになるはずです。C端子に余分な抵抗が付いているような値です。もしかするとC端子の摺動端子の接触不良の可能性があります。
3V電源を繋いでC端子の電圧を確認します。全閉の時0.22V、全開の時2.45Vです。途中、不連続の所は無いようです。110度回転でスロットルは90度弱しか回らないので全域は使えないですが、全閉の時が上に浮いているように思われます。もし、浮いているなら、アイドリング付近の燃調が濃くなる方向になります。スロットルポジションセンサ単体のドカの正規品だと3万以上すると思われます。ここはヤフオクで調達したと思います。
アマゾンで購入のICフラッシャが到着しました。裏に半固定が付いていて、点滅周期の調整ができます。
早速交換して、無駄な抵抗を外しました。このタイプはある程度電流を流さないと点滅しないですが、今回は問題なく動作しました。
ICフラッシャで、動画を撮影しました。クリックすると約1.3Mバイトの動画をダウンロードします。
ヤフオクでハイパーモタード1100のスロットルボディーが出ていたので購入しました。スロットルポジションセンサ付です。
6月12日
スロットルポジションセンサの続きです。ECU側の入力回路を調べます。テスタのケーブルを10KΩでプルダウンします。
イグニッションをONにして、B端子は5V(電源)でした。続いて、C端子(センサ入力)は2.5Vです。これにより、C端子は10KΩでプルアップされていることが分かります。
ネットで見つけたスロットルポジションセンサの入力回路です。プルアップ/ダウンしてあります。プルダウンだけのもあります。テージの場合は左図のR2が無く、プルアップのR1だけが付いているのと同等と思われます。
2ヶ月以上かけてスロベニアから来たカーボンのL字チャンネルでガソリンタンクのステーの作製を開始しました。中央の板は調達中です。
6月13日
スロットルポジションセンサの続きです。全閉の時が上に浮いているようなので接触不良でC端子(摺動)に余分に抵抗が付いている場合にどの様な影響があるかLtspiceでシミュレーションしてみます。スロットルポジションセンサと入力に付いているプルアップ抵抗の回路入力して、余分な抵抗はR6で仮に600Ωにします。
ボリュームのR1側を1Ωから1199Ωまで300Ωステップで変化させたときのC端子の電圧をグラフにします。全閉が上へのシフト量が大きく、開けていくほどシフト量が小さくなります。全閉の時、約0.21V上へシフトしています。これが起きているとすると、アイドリングなのに少し開けた時の燃料が噴射されていることになります。
タンクとシートが外ているので配線図の使われていないコネクタを調べようと思ったのですが、配線図と実車が違って追えません。コネクタはリア左側にあり、4ピンコネクタは無く、3ピンで、他は似ていますが配線の色が配線図と合いません。ビモータのフォーラムでは”ドカのハーネスの流用なので余ってるんじゃないか”みたいな情報もありますが、ECUやメータコンソールがドカとは別なのでハーネスは流用できないと思われます。配線図からセキュリティ系のコネクタだと分かります。
6月15日
サイドカウル固定用のL字ステーが鉄製で重そうです。
タンクのステー用に購入したカーボンのL字チャンネルの残りでL字ステーを作製しました。2個で29グラムから10グラムになりました(笑)。
6月16日
ヤフオクで購入のスロットルポジションセンサの比較用のハイパーモタード1100のスロットルボディが到着したので、早速、スロットルポジションセンサの抵抗値を測ってみましたが、テージのとほぼ同じ値でした。元々、C端子に抵抗が直列に入っている仕様のようです。仕様書の1.2KΩはA−B間の抵抗なので間違っていないですが、C端子に抵抗が付いていることを仕様書に明記しないと単体チェックできないです。スロットルポジションセンサは多分無実なので別の不具合原因があるようです。
ネットで調べると、同じPF1Cの長穴調整タイプの分解写真がみつかりました。フレキ基板にカーボン抵抗体(黒色)と銀導体(銀色)が印刷されてるようです。ちょっと見にくいですが、緑枠の中に抵抗体があるようで、多分、これがC端子の直列抵抗と思われます。
6月18日
インジェクタやセンサの互換コネクタをアマゾンで購入しました。インジェクタを少し短く噴射するリデューサを作製してO2センサがリーンになるか確認してみます。
早速、インジェクタ信号取り出しケーブルを作製しました。
6月19日
インジェクタリデューサを作製するために、取り出しケーブルを使ってオシロでインジェクタの開いている時間を測定しました。2000rpmの時に6〜7mSecでした。
インジェクタリデューサの続きです。Ltspiceでシミュレーションしてみます。ロジックのHCシリーズのライブラリが公開されていてるのでワンショットのHC123を使います。実時間では非常に時間がかかるので、時間を1/50倍位に早めて回路の動作だけ確認します。緑がECUのインジェクタ出力、赤が噴射時間を短くした変更後のインジェクタ出力です。赤ラインのLOW期間が噴射しているタイミングです。R1をボリュームにすれば噴射時間を調整できます。これを2個作ってインジェクタに割り込ませます。HC123のタイミングはほぼC*Rなので例えば500KΩのボリューム0.02uFだと最大10mSecになるはずです。
6月20日
アマゾンで購入の3mm厚のカーボン板が到着しました。タンク前側の固定ステーを作製します。ディスクグラインダで手動で切り出しました。オリジナルのステーは鉄製で曲げ加工がしてあり、先端が下に向くようになっています。カーボン板は曲げられないので、ウレタンゴムで斜めに固定できるスペーサを作製しました。右が完成したステーとウレタンゴムスペーサ、ワッシャ、車体側スペーサは厚みが足らないので新しく作製しました。
早速、仮止めしてみます。良いようです。残りのカーボン板でタンク後のL字ステーを作製します。
6月21日
リアのタンクステーの作製の続きです。アマゾンで購入の3mm厚のカーボン板でL字ステー間をネジで接続します。外形は粗削り状態です。
中央の取り付け穴を開けて、ネジと強力エポキシでL字ステー間を接着しました。
大分前に完成していた、カーボンレバー付ブレンボのラジアルマスタを取り付けます。フルードが本体にかからないように厳重に養生します。フロントカウルとの干渉が心配でしたが、ギリギリ大丈夫でした。右は取り外したセミラジアルです。
上側から順にエア抜きします。後はストップランプスイッチの位置調整と配線の追加が必要です。
6月22日
リアのタンクステーが硬化したので、外形を仕上げて重さを測りました。フロントの鉄製オリジナルが約80g、カーボン製が約30gです。
リアの鉄製オリジナルが約120g、カーボン製が約60gです。リアは二重の部分もあるのでフロントに比べて重いですが、それでも半分に出来ました。
アリエクスプレスで購入したスロットルポジションセンサが到着しました。1000円ちょっとでPF1Cの互換品が買えます。C端子に直列に抵抗が入ってることを確認しました。中国からの荷物は大体箱が壊れています(笑)。中身は大丈夫でした。
ユニバーサル基板にリデューサ回路を作ります。FET前段までの動作をアナログディスカバリで確認しました。ボリュームで噴射タイミングを調整できることを確認しました。青色の波形が入力、黄色の波形が噴射時間を短くした出力です。
6月23日
インジェクタリデューサの続きです。車体のインジェクタの配線を確認します。防水のゴムのキャップを外して配線の色を確認します。配線図と合っていて、赤ー白のケーブルが12Vの電源側です。
回路にFETのインジェクタドライバを追加して、アマゾンで購入した耐熱ケーブルでハーネスを作製しました。ハイパーモタードのインジェクタを駆動して動作を確認しました。良好です。基板は車体の横に吊り下げられるようにタッパウェアに入れました。
6月24日
インジェクタリデューサの続きです。車体の右横に置いてインジェクタに割り込ませました。
初めに約6mSecの噴射時間で増減無しの状態です。O2センサの出力をオシロで確認します。以前と同様で約1〜0.4V間を交番しています。1Div=0.2V、黄色テープ先端が1.0V、下から1つ目のラインが0Vです。クリックすると動画を再生します。
続いてボリュームを調整して濃くします。上の1Vに張り付く時もあり、濃くなっていることが分かります。クリックすると動画を再生します。
続いて、薄くします。下に張り付くタイミングもあり、薄くなっていることが分かりますが、下限はやはり0.4V付近で、一般に言われている1.0〜0.2Vや0.6〜0.2Vの範囲では変化していません。元々、この仕様なのか、壊れているのか分かりません。他の中古の2本も0.4V付近までしか下がらないので、3本とも故障しているのか、この仕様で正常なのか判断が付きません。燃調に反応していることは分かりました。クリックすると動画を再生します。
オイルクーラステーを取り外して、L字と3mm厚のカーボン板からラフに切り出しました。
6月25日
テージのO2センサの調査です。車体にはNTK(NGK)のOZA591−BB3が付いていました。テージのパーツリストでは506315080です。他の車種のパーツリストから少なくともDB5、DB6、DB7等で共通です。テージのベースエンジンのムルチストラーダ1100のパーツリストでは55211111Aです。ネットでOZA591−BB3&55211111Aで検索すると以下のページが見つかりました。アマゾンで売っているドカ用のO2センサです。型番はOZA591−BB3に一致します。これからテージとムルチストラーダ1100は同じO2センサを使っていることが分かります。
一方、”Ducati O2 sensor output voltage”で検索するとモンスタのページが最初に見つかります。この中に”ドゥカティのシステムは狭帯域センサーを使用しており、出力はリッチかリーンに応じて 0.2Vから0.8V程度の電圧で変化します”との記述があります。
ディアベルのサービスマニュアルのページもあり、”O2センサによって生成された電圧は平均して約 0.1V から約 0.8V の間で変動する必要があります。自己適応パラメータがこの範囲の上限および下限に近づかないように注意してください。これは、燃料と空気の混合気が濃すぎるか薄すぎることを示しているためです”との記述があります。右はO2センサの出力波形です。GNDレベルが明確で無いですが、下から1番目のラインが0Vとすると4divで0.8Vなので文章と合います。やはり、O2センサの出力は0.2〜0.8Vくらいで変化するのが正常と思われます。
テージのO2センサの出力を青線で模式的に重ねるとこんな感じになります。
6月26日
O2センサの特性図に0.4Vを重ねると理想に一致します。通常、この急峻なポイントに一致することは無いです。この信号を正常なECUが受け取ると、平均して濃い状態なので逆の薄い方に制御します。しかし、現実には濃い状態です。もし、ECUのO2センサの入力が壊れていて0Vと判断していると、常時薄いと判断して濃い方に制御し続けると思われます。
念のため、インジェクタリデューサ回路の5Vから分圧した1VをO2センサの入力に繋げてみました。特に変化無しです。O2センサの入力が壊れている、または別の原因で入力が無視されている(何らかの故障でセーフモードになって、エンジンが壊れないように強制的に濃くしている)可能性もあります。