ジャンクで目指す
走査型電子顕微鏡のページ
その1:真空環境の整備
2014年
10月12日
真空のページです。目指すのはDIY走査型電子顕微鏡です。先は長そう(笑)。とりあえず、実験用の物をヤフオク、ebayで揃えます。ということで、粗引き用の油回転ポンプをオークションで購入しました。通電済みジャンク品で6500円でした。
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いきなりポンプ部を外しました。通電してもモータが回らず(笑)。初めポンプ部が固着しているだけだと思いましたが、給油口から覗くと凄い錆。固着じゃなくてケース内どろどろ。確かに通電してポンプが回ったとは書いてないんですね。あくまでも通電済みです。
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1ステージ目を分解しました。ケースの内側とシリンダの外側の錆が酷いでが、シリンダ内とロータはきれいです。うまくすると、ポンプとして復活させられるかもしれません。
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2ステージ目です。ニードルベアリングとニードルベアリング用のオイルシールが使われています。内径17mm、外形23mmです。モノタロウでも購入できます。
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ケースの内側です。気持ち悪いほど錆でどろどろでしたが、どうにかここまでになりました。
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中村製作所製で
すが、WEBで調べてもヒットしません。スペックを見ると、10Pa(10eー2Torr)となっていますが、間違いでしょうか?PaをTorrにするに
は100(ほんとは133)で割ります。10−>1−>0.1なので10Pa(10eー1Torr)が正解じゃないでしょうか?あるいは1Pa(10eー
2Torr)。もしかしたら10Paは10e0=1Paだったりして(笑)。下の10eー2Pa(10eー4Torr)は合ってますね。バラストバルブは水分が多きときに使うバルブで、普通は閉めて使います。粗引きポンプとしては10Paくらいまで下がってくれれば次段の本引きのポンプを起動できると思います。
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とりあえず、ニードルベアリングとオイルシールを油圧プレスで抜いておきました。下記のスプリングと一緒にモノタロウに発注しておきました。
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排出弁の部分です。本体はアルミ製、弁はステンレスです。スプリングは錆ているので、似たものをモノタロウに発注しておきました。
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モータはきれい。200W。
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10月18日
ebayに出ていた油拡散ポンプです。一番小さいサイズです。メーカと型番は”Edwards EO2”です。水冷バッフル、バルブ、延長配管付です。
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2週間くらいで来ました。早速、分解。気になっていたヒータは200V仕様でした。残念。ヒータの底板はサビサビで、輸送途中でぶつけたのか少し変形してました。
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こちらもebayのパイレックスのベルジャー。
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こちらも同じく2週間くらいで到着。直径は300mm弱です。容量は18リットル。
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良く見ると、ガラスに斑があるんだけど大丈夫なんでしょうか?
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これはモノタロウで購入のオイルレベル確認窓、ベアリング、Oリング、スプリングなど。
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早速、油回転ポンプにオイルレベル確認窓を圧入。
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排出弁のスプリングを取り付けました。
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ニードルベアリングとオイルシールを圧入しました。
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ポンプを組み立てます。右は2ステージ目が組み上がったところ。プーリを付けて手でスムーズに回るように調整します。
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ポンプ本体の組み立て完了。
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0.8mmの汎用ガスケットからケース用のガスケットを切ります。最近、レーザ加工ができるようになり、ガスケットの切り出しもできるのですが、テーブルの移動範囲が3Dプリンタの200x200mmままで今回の大きさは入らず、手動で切りました。ポンプ本体をケースに組み込み、ガスケットを使って密閉しました。組み立ての時に気が付きましがプーリ側のシャフトの内径17mm、外径30mmのオイルシールがありました。買い忘れ。
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モノタロウで購入しておいたオイルを入れます。やはり、漏れてきました。このまま、ちょっと試運転。一応、ポンプになっているみたいです。オイルシールは買い足して、来週再組み立てします。
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10月19日
真空計のセンサです。上はイオンゲージ、下が熱電対真空ゲージです。
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イオンゲージはヤフオクで2個購入しましたが、ポート径が違いました。双方ともインチ規格で細い方は0.75インチ(約19mm)、太い方は1インチです。
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熱電対真空ゲージはebayですが、こちらも接続部が違いました。1つはNPT(管用テーパ)、もうひとつはVCRという継手です。
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こちらはヤフオクの10MHzのトリオ(ケンウッド)のオシロスコープ。輝線が出たというジャンク品で価格は1000円。選定条件は管面が5インチで、ソリッドステート(古い)なこと、回路図がネットにあるもの。CRTをうまく割って中身を取り出し、初期段階の実験に使います。
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一通、機能確認して問題なさそうなので分解。使われているのはNECのCRTでした。巻いてあるコイルはトレースローテーションでしょうか?WEBにあった回路図には出てきませんが。
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ebayのジャンクの真空計です。メーカと型番は”Varian 843”。上記の2つのセンサが接続できます。イオンケージが1つ、熱電対真空ゲージは2つ接続できます。ネットでマニュアルを探してみましたが見つかりませんでした。
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熱電対真空計のテストは簡単です。熱電対真ゲージはヒータと熱電対が組み合わされています。コネクタは5ピンで、そのうち4ピンが使われています。ヒータは12V(定電流源)が出ているので熱電対の端子はすぐに分かります。
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熱電対の端子に基準電圧発生器を接続して13mVを接続するとフルスケール(0Torr)を振り切れました。2chとも動作良好でした。
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イオンケージはもう少し複雑です。フィラメントは5V、グリッド電圧が180V、フィラメントのバイアスがー30Vくらいのはずです。コネクタ部にアルファベットの書き込みがしてあります。後で内部の配線と電圧を確認してみます。
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油拡散ポンプのレストアです。ヒータの底板はさびさびです。サンドブラストをかけます。
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その後、耐熱缶スプレーでペイントしました。
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10月21日
油拡散ポンプのヒータの型番を調べます。”CHROMALOX KB15 200/220V 400W”と刻印が打ってあります。ネットで調べると一応、同じ型番で120Vのものが存在しています。大体250ドルくらい、高い。同じような仕様でVarianのM2用の交換ヒータが80ドルで売ってます。これ。ただし、内側の穴の内径が小さくて取り付けネジ径と同じくらい。
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10月22日
イオンケージの続きです。真空計裏のコネクタのアルファベットのマークキングですが、ここの別のメーカの真空計のマニュアルが参考になります。回路図も入っています。勉強になります。肝心のアルファベットの意味ですが、どうもイオンゲージのピン名から来ているようです。以下はダブル・フィラメントタイプのイオンゲージのピン名です。今回購入した2つのイオンゲージとも”B”と”F”は存在しません、推測です。本来、ダブル・フィラメントは変調用として使うようですが、今回は使いませんので、フィラメントが切れたら180度回転させて、もう一回使えます(笑)。
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イオンゲージ用のコネクタに出ている電圧を測りました。ここに参考になるページがあります。コレクタを0Vにした時に電位図を書いておきます。京大のはフィラメントが0Vになっていますが、意味は同じです。一応、電圧は正常に出ているようです。パネルの”ON”スイッチを押すとリレーが動作してフィラメント電圧が出力されます。イオンゲージが接続されてないため”ON”スイッチは保持されず戻ってきてしまいます。
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