ジャンクで目指す
走査型電子顕微鏡のページ
その11:予備実験と装置の製作
2015年
5月2日
リアパネルのSSRに端子台を介して制御信号を配線します。
パネル電圧計にOO6P電池を接続し、小数点表示を設定しました。
フロントパネルのスイッチで油回転ポンプ、油拡散ポンプのON/OFFができるように配線を追加します。
5月3日
高圧電源以外の電気系がほぼ完成したので動作確認をします。
SSRで油回転ポンプのモータと油拡散ポンプのヒータを駆動して45分くらい本引きしました。問題ないようです。
次はフィラメント電源の動作確認です。3.5Vでベルジャー内のタングステンフィラメントに通電し、正常に動作することを確認します。
分解したオシロのCRTの加速/偏向部を使って電子を発射する準備です。加速/偏向部のホルダを作製します。Qcadで図面を書いて、CNCフライスで4mmのアルミパネルから切り出します。
1枚完成しました。2枚必要です。
5月4日
もう一枚作製して簡易コンタですり割りを入れ、すり割り部にアルミブロックをネジ止めしてクランプできるようにします。
ホームセンタで購入してあった6mmのステンレスの長ネジをホルダに仮止めしてみました。
19インチラックに電気系をまとめましたが、油拡散ポンプの冷却水が流れていないと、ヒータがONにならないようにする回路を追加します。フォトインタラプタ(東芝P507A)を分解して赤外線LEDとフォトトランジスタを取り出し、フローモニタに透明接着剤で貼り付けます。右は周囲の光が入らないように、新聞紙で包んで測定したフォトトランジスタの出力波形です。ケースが透明なプラスチックなので、完全なON/OFFにはなりませんが、フローモニタ内の羽根が回ると波形が出力されます。コンパレータを使えばON/OFF信号になります。
5月5日
光が入らないようにフローモニタ全体を艶消し黒の缶スプレーで塗装しました。
回路側を作製します。コンパレータのLM339とワンショットのHC123を使って、水が流れている
ことを検出します。フロントパネルのスイッチとANDします。部品は手持ちがありましたが、写真の紙エポのユニバーサル基板は亜土電子工業のマークが入って
います。かなり古いですが、銅はきれいで磨かなくても問題なくハンダがのりました(笑)。
黒で塗装したフローモニタを元に戻して、フロントパネルにLEDを2個追加しました。FLOWがコンパレータの出力、ENAがHC123の出力です。油拡散ポンプは粗引きの最高圧力が決まっているので真空計のセットポイントのリレー出力もヒータの駆動条件に加えた方が良いかもしれません。
5月6日
ベルジャー内で電子を発射する準備の続きです。2次電子検出器(電子顕微鏡用中古品)と反射
電子検出器(窓無しPINフォトダイオード)で実験を行いますが、双方とも光に非常に敏感です(当たり前ですが〜)。ベルジャーに被せる遮光BOXを作製します。アルミの
L字サッシを黒でペイントし、黒のプラダンを接続してBOXを作ります。
とりあえず、周囲のみ完成。続いて天井も付けて全体が完成しました。L字サッシとブラダンの間は黒のバスコークでシールしてタイラップで固定してあるだけなので、まだ光が漏れています(笑)。
ベルジャーを遮光しても下に付いている、イオンケージがガラス製のため、ここも遮光する必要があります。
5月9日
ラック内に高圧発生部を入れました。
粗引き用の熱電対真空計のセットポイントリレー(約10Pa以下)から油拡散ポンプのヒータ用の制御信号を接続しました。LEDを追加してROUのラベルを貼ります。これでヒータがONになる条件は粗引きの圧力が10Pa以下&冷却水が流れている&VPスイッチがONになっているという条件になりました。
5月10日
高圧発生部の電圧をパネル電圧計で測れるようにオークションで購入しておいた1GΩの分割抵抗を接続してパネル電圧計に接続してみます。因みに、この電圧計の入力抵抗は1MΩです。
スライダックが100Vの時、9.45KVになっています。日置の高圧プローブ+テスタでは8.82KVです。
1G/1MΩで分圧して、入力抵抗10MΩの電圧計で測定すると大体合うはずなので、外に10MΩを外付けして再度、確認しました。今度は良さそうです。
遮光BOXのタイラップの穴を黒のバスコークで埋めました。
ジャンクの高圧電源から取り外した電流計は大きすぎて19インチラックのパネルに取り付けできなかったので、別のアルミケースに入れました。フルスケールが少し低く、500uA位がちょうどいいです。分流抵抗を追加すれば簡単に電流を増やせますが、2倍とかの場合にはメータの数字を書き直す必要があります。
ベルジャーベースに電子銃/偏向部を固定するステーを取り付けます。ホルダを載せてポンチでマークして〜
5mmの穴を開けて、タップで6mmネジを切り、長ネジを固定します。ステーの間に置いてあるのは分解した3インチのオシロのCRTの蛍光面です。中心からずれているのは2次電子検出器用のスペースが右側に取ってあるからです。ステーにホルダを2枚、仮止めしてみました。
5月16日
分解したオシロのCRTの加速/偏向部を使ってベルジャー内で電子を飛ばしてみます。オークションで購入してあったオシロで電子銃部を駆動します。
駆動に必要な信号をCRTのソケットから伸ばします。
5月17日
フィードスルーを1本追加して全部で7本作りました。ビームの加速は5本で良かったので、1本追加すると、X、Yどちらか偏向できます。取り付け穴も1個追加しました。
前日に仮止めした電子銃ですが、気が付いたら、ガラス部が割れていました(泣)。ホルダの締め過ぎと思われます。ガラスを切って分解しているので余分な力には弱いです。失敗。
予備の電子銃に交換しました。これは外径が少し細いので、薄いアルミ板をホルダとの間に挟んで、軽く締め付けました。
フードスルーからポリウレタン線を伸ばしてソケット部に半田付けしました。本来、真空中での半田の使用はあまり良くないです。カシメの方が良いです。ソケット部がすでに半田付けなので、まあ良いでしょう。
ベルジャー内を本引き後、オシロの電源を入れます。ヒータの点灯が確認できます。しかし、電子は蛍光面に届いていないようで、発光しません。XかYを偏向しても3インチ内に入らないです。
分解していないCRTを使って確認します。オシロで使われているCRTと型番が異なるので、フォーカスが合わないことは予想していたのですが、偏向しなければビームが中心に来ると思っていましたが、どうも違うみたいです。かなりずれています。この日は時間切れで終了。次回、偏向をもう1つ追加してX、Y双方偏向できるようにして再テストします。
5月23日
偏向をXとY両方接続し、分解していないCRTで確認。オシロのボリュームで中央に調整できます。
以前に作っていた遮光BOXの続きです。BOXが嵌るようにスポンジゴムで溝を作り遮光します。
フォーカスは無視して蛍光面を上げて、再確認しましたがスポットは発光せず。
夜になって周囲が暗くなってから再度確認、微かに発光していることが確認できます。シャッタスピード4秒です。X、Yともオシロの調整ボリュームで動きます。しかし非常に暗いです。何かおかしいです。
5月24日
なぜ、暗いのか確認します。初めに電圧です。右は分解していないCRTで正常に発光。
結果は分解していないCRTもベルジャー内の分解したCRTもほとんど同じでした。加速電圧約2KV、第一グリッドが約ー50V、フォーカス用が約500Vです。実験中に分解していないCRTでもスポットが出なくなりました。オシロ側が壊れた可能性があります。