ジャンクで目指す
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その13:予備実験と装置の製作
2015年
7月4日
ベルジャー用のリークバルブのフィルタを近所の2輪パーツ屋で購入してきました。早速取り付け。
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オシロのケーブルをベルジャーのフィードスルーまで伸ばします。電圧差のあるグループに分けて、片側に高圧シリコンケーブルを使いました。
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正常に発光してます。
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7月5日
CRTに穴を開けて大気に開放し、ベルジャー内で本引きします。スポットが暗く、なかなか見つかりません。電源を切る時に、かろうじてピンボケのスポットが確認できるような状態です。そうこうしている間にまたスポットが出なくなりました。また壊れたか〜
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調べると、ソケットのケーブルが外れてました。良かった。再度、本引きして実験再開。
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以前と同様にスポットが暗いです。布で覆って隙間から見ると、かろうじて確認できる程度です。これまでの実験からCRTに穴を開けて、ベルジャー内で電子を飛ばすと大幅に暗くなるということが分かっています。違いは圧力と思われます。CRT内の圧力はたぶんー5乗Paくらいと思います。もし、真空計が合っているとすると、このベルジャー内はー3乗Paオーダです。100倍くらい違います。これがスポットの明るさにどのように関係するか調べてみます。
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穴の開けていないCRTで再確認しようとしましたが、CRTを誤ってガレージの床(レンガ)に倒してしまい、中の電子銃が偏ってしまい、動作不良となりました(泣)。
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7月4日
別の予備CRTで確認します。明るい輝線が出ます。問題無いです。やはりベルジャー内の圧力が問題のようです。ベンさんのYouTubeで油拡散ポンプを使用している時の圧力は2E−4mBarと言っています。パスカルに直すと0.02Paです。
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ガイスラー管の内部が汚れてきたので、トーチで焼いてカーボンを飛ばします。接続部にひびが入りました(泣)。ダイアモンドヤスリで整形して復活しました。接続部が少し短くなりましたが、とりあえず使えてます。
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オシロを電源として分解したCRTで実験するのを中断して、オリジナルで電子銃部を作っていきます。以前に作製したフィラメント用セラミック板に固定用の穴を2個開けます。その後、ウェネルト固定用を2個、合計4個穴を追加して6個穴が開きました。ダイアモンドビットで開けますが、セラミックは結構硬いです。四角のアルミ板がウェネルトで、0.8mmのアルミ板です。
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ウェネルトの中央に0.6mmのドリルで穴あけしました。
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続いてアノードを作ります。内径は16mmです。ずん胴だと固定が面倒なので固定用ツバを残し、3mmの固定用穴を2個開けました。電子の通る穴は1mmです。
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アノードの固定はウェネルトに固定することにして、0.8mmではネジが切れないので、ウェネルトを3mmのアルミ板からCNCで作り直します。中央部は0.8mmまで薄くします。板厚が3mmであればアノードの固定用のネジが切れます。
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CRT用に作ったクランプホルダに仮組してみます。ウェネルトとアノードは3mmの樹脂ネジで絶縁されています。
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7月18日
フィラメントベースに5mmアクリルとワッシャでウェネルト用のスペーサを作製します。
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ウェネルトの穴の周辺をサンドペーパとコンパウンドで磨きます。
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実体顕微鏡で確認します。
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入口は面取りしましたが、顕微鏡で見ると綺麗にできていません(笑)。右は出口です。
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ウェネルトとフィラメントの中心を合わせます。
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アノードに3mmのネジを切り、電極用のネジを取り付けました。
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モノタロウで購入した2mmのステンレスネジが送られてきました。
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7月18日
早速、オリジナル電子銃の実験しようと思ったのですが、油拡散ポンプの周辺でオイル漏れありました。ドレンから漏れているようです。分解して確認します。オイルは半分以下に減っていました。
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原因はドレンのシールの劣化でした。ゴムが硬化しているため締め代が無く漏れてしまったようです。シリコンゴムを切って締め代分厚くしておきました。ここのドレンはテーパになって通常のOリングではないようです。
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電子銃をベルジャー内にセットします。フィラメントに2.2kΩのバランス
抵抗を付けて、フードスルーに接続します。以前に購入してあった10MΩのボリュームをバイアス抵抗にして自作実験用高圧電源(最大10kV)を接続します。レン
ズ系は全くないので、ぼやっとした蛍光面の発光が見られるはずです。
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本引き後、フィラメントと高圧電源を入れます。真空計の読みは6〜7E−3Pa、加速電圧は4kVです。散らばってますが、蛍光面が発光しました。全体が電球色で明るいのはフィラメント光です。本来、フィラメント光は遮光する必要があります。左写真の黄色の内側が明るくなっているのがフィラメント光がウェネルトとアノードの穴を通ってきた光です。中心からずれてますが(笑)。周りの緑の蛍光が電子が当たって発光しているところです。オシロのCRTの時と異なり、非常に明るく発光しています。この実験でオリジナルの電子銃では蛍光面の発光は十分に多く、ベルジャー内の圧力でも問題なさそうです。楕円や円、ドーナツ型で、ぼやっと発光するとの予想に反してかなりランダムに散らばっています。
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夜になって、周囲が暗くなってからもう一度撮影、蛍光面下に絶縁アクリルを敷いて、アルミテープでアノードと同じ電圧を掛けます。上の写真では見えなかった、別の方向の直線も発光しています。電圧は6kVです。
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7月25日
先週からの続きです。ランダムに直線的に出ている蛍光はどこから出ているのか確認します。
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ベルジャー内をリークさせて実験を開始した所でトラブルです。加速電圧用の高圧が出なくなりました。どうもベルジャー内を大気に開放する時に高圧電源に貯まっている電気が一気に放電するようで、ベルジャー内で放電発光します。この時に高圧ダイオードが壊れるみたいです。テスターで測ると普通のダイオードと同じ値を示しますが、4kVの設定で350V位までしか上がりません。
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ダイオードが壊れたか確認するために、数段のみ交換しました。交換した段数まで正常に電圧が戻ります。全てのダイオードを交換しました。100Vから2.2kVに昇圧できました。141*16=2.2kVで正常です。ベルジャー内をリークする前に抵抗値の高いダミーロード抵抗でゆっくり放電する必要があります。この週は気温も上がり、ガレージ内は余りに暑いのでエアコンの効いた母屋で修理作業(笑)。
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交換したダイオードです。余分に買ってあったので良かったです。
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電源が直ったので実験再開しました。バイアス電圧とフィラメント電圧を調整するとスポットが出る設定があります。左黄色枠内です。ゲタを履かせて蛍光面を持ち上げたのが右です。かなりアノードと蛍光面が近いですが、直線の発光が見られます。
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7月26日
アノードにアルミ板を付けてみました。アノードの円筒の内側以外から電子が来るのを防ぐためです。スポットはそのままで中心部付近のランダムな直線の発光は無くなるよです。
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蛍光面の下にアノードと同じ電圧があるかどうかでもパターンは変わります。
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アノードにアルミ板を巻いて円筒を延長してみます。アノードの円型に沿って光っている部分があります。フィラメントとウェネルトの間から出た電子が蛍光面に達してしていると思われます。通常ウェネルトは円筒形で内部にフィラメントが入ってます。ベンさんの動画でウェネルトが板状だったので板で作りましたが、これが原因のようです。次回、シールドしてみます。
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油拡散ポンプのヒータの熱電対温度計はスイッチの切り忘れで1週間通電していました。消費電力が多いようで、電池が無くなりました。100円ショップで購入しておきました。
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この週は熊谷で38度超えだそうで、ガレージ内も40度を超えそうな温度です。この季節は朝と夕方のみの作業にした方が良さそうです。
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