ジャンクで目指す
走査型電子顕微鏡のページ
その14:予備実験と装置の製作
2015年
8月1日
蛍光面にランダムに出ている発光はフィラメントとウェネルトの間から漏れているようなので、アルミテープを貼ってシールドしてみます。
」
フィラメントが固定されている白色セラミックの上側から漏れるフィラメント光を遮光する黒ガラスです。溶接面のいらない遮光ガラスから作りました。
早速、実験します。ランダム発光は無くなりました。上に漏れてくるフィラメント光もかなり少なくなりました。スポットの形はなぜかT型です(笑)。また、フィラメント光と電子の発光は軸がずれています。
実験時の電圧はフィラメント1.7V、加速電圧5.5kVです。バイアス抵抗は8〜9MΩくらいでしょうか?
電流計を入れてみましたが、ほとんどメータは振れません。壊れたようで、振ってると何やら銅色の線が出てきました。分解してみると後ろ側のぜんまいバネが焼損していました。初めからほとんど振れなかったのですが、いつ壊れたか不明です。焼損したのは大気圧にリークして高圧電顕が壊れた時でしょうか。
ちょっと気が早いですが、レンズ用の永久磁石を購入しました。右の四角いのはレンズ用ではなく、ベルジャーを通して回転動作を伝えられないか試に購入した磁石です。たとえば、蛍光面を上下するとか。非接触モーションフィードスルーですね。まあ、飛んでいる電子の軌道にも影響しそうですが〜
オシロを電源にして実験していたので、高圧ケーブルが足らなくなりそうです。同じ高圧ケーブルをオヤイデから追加購入しておきました。
8月2日
フィラメント光と電子発光の軸ずれの件です。実体顕微鏡で軸を確認して微調整しましたが、あまり変わらず。
間違えて、高圧を出したまま、粗引き圧力まで下げてしまい、また高圧電源が壊れました。今度はダイオード1つだけショートしている見たいですが、念のため、全ダイオードを交換しておきました。
この週もガレージ内は40度くらいになっています。朝6時くらいに作業を開始して10時くらいまで作業可能です。それ以降は夜の7時くらいになると作業ができます。
8月9日
アライメント調整でフィラメントを少し曲げようとしたところ、脆くなっていて折れました。ある程度使用した後に曲げるのは無理みたいです。
モノタロウで購入の新しい電子銃用の内径18mmウェーブワッシャと電磁レンズ用の4.8mmのドリルと5.0mmのハンドリーマです。
大分前に別の用途で買った18.0mmのP1.5の細目タップです。
8月10日
新しい電子銃を作ります。ネジでフィラメントとウェネルトの間隔を調整できるようにします。下記は夏休み前の通勤途中で書いたメモ書きの設計図です(笑)。
材料は直径42mmのアルミ5056材です。今回は電子が逃げていかないように、ウェネルトを筒状にしてみます。初めにウェネルトの上側です。16.5mmで穴ぐりします。
18mmの細目タップでネジを切ります。芯押で押しながらモンキーレンチで切り込んでいきます。右はネジが切れたところ。
続いて、ウェネルトの下側です。18.0mmの1.5mmピッチで雄ネジを切ります。外径加工をします。
旋盤のネジ切ギアをピッチ1.5mmに変更して、試し切りします。ピッチゲージで確認、問題ないです。
少しづづ切り込んでいき、上側とうまく嵌るようになりました。下側の中穴は14.5mmです。
8月11日
ウェネルト下側に0.6mmの穴あけを行い。外径も加工します。ウェネルト下側には回しやすいようにローレット加工します。黒ガラスで新しいフィラメントベースも作りました。
インデックス盤に挟んで120度の固定穴加工を行いました。フィラメントベースを入れて、ウェーブワッシャを挟んで仮組みしてみます。下側を回すと、フィラメントとウェネルトの距離を調整できます。
実体顕微鏡でアライメント調整できるように透明ガラスでフィラメントベースを作り直しました。
8月13日
電子銃部をホルダに固定するアクリル絶縁プレートを自作レーザ加工機で作製します。Qcadで図面を書きます。
5mm厚のアクリルから絶縁プレートを2枚作製しました。1枚は実体顕微鏡でアライメントを調整する台です。
仮組みしてみます。黒アクリルの方がフィラメント光が漏れなくて良かったです。
8月13日
厚めに作っておいた、ウェネルトの厚みを調整します。大体0.6〜0.7mm位になっていると思います。
次にアノードを作ります。中穴と外径を加工します。
8月14日
突っ切って、ひっくり返し1.0mmでセンタに穴あけします。
センタ穴の面取りはセンタドリルを使いました。フライスにインデックスを載せて固定用の穴を120度で開けます。
ウェルネルトとアノードを仮組みしてみます。
スペーサは5mmのものを重ねてあり、いまいちなので、ホームセンタで6mmのアクリル棒を購入して、とりあえず20mmで作製。絶縁プレートもちょっと薄いですが、2mm厚の黒アクリルで作り直しました。
8月15日
フィラメントベースを透明ガラスにしたので、フィラメント光が漏れないように黒アクリルでカバーを作ります。Qcadで図面を書いてレーザ加工しました。
絶縁プレートとホルダは2点から4点止めにしてスペーサをアクリル棒で作りました。長さは7mmです。
8月16日
ベルジャーベースに新しい電子銃部をセットします。フィラメントの高さが低いのでウェーブワッシャは省略しています。
加速電圧4kV、フィラメント電圧1.9V。スポットは円ではなく一部欠けています。
ウェネルトの下側を回してフィラメントに近づけてみます。発光が強くなります。発光は上と同じく、一部欠けていますが、強さ的にはなかなか良い感じです。
バイアスやフィラメント電圧、加速電圧をいろいろと調整していたところ、放電音がして、熱電対真空計の粗引き側が動かなくなりました。2つのサーミスタ温度計も無表示になりましたが、これはリセットした所、正常に復帰しました。
ケーブルを入れ替えると、粗引き側が動作します。熱電対真空ゲージ本体が壊れたみたいです(泣)。Ebayで再度購入する必要があります。
8月22日
フィラメントの加工用ジグを作りました。見えにくいですが、アクリルにフィラメントの形がケガいてあります。
先週のフィラメントは寸足らずで、ウェーブワッシャが入れられなかったので、ジグを使って新たにフィラメントを作製しました。
ウェーブワッシャを挟んで新らしいフィラメントで実験をします。先週の放電で粗挽き側の真空計が壊れたままですが、1つ残った方でベルジャーの圧力は分ります。新たらしいフィラメントはアライメントがイマイチでした。
8月日
以前の板状ウェネルトです。良く見ると虹色に着色されています。多分、タングステンが蒸発して飛んだ跡と思われます。
レンズ用のマグネットと一緒に購入した角型マグネットで非接触モーションフィードスルーを作ってみます。5mmのアクリルをガスバナーで加熱し、ベルジャーの内側に合わせて曲げます。ベルジャーの内径は約250mmです。右はいらない所を切り取って正方形に加工したところ。
曲げたアクリルをフライス盤のバイスに固定してCNCで20x20mmの磁石が回る段加工をします。
段加工をしたアクリルをベルジャーの内側にセットして、2個の角型磁石で挟みます。外の磁石を回すと、中の磁石も回ります。伝えられる力はそこそこで、細い軸ならギア無しでも3インチの蛍光面を糸で巻き上げられそうです。早速、電子を飛ばして、磁石を回してみます。遮光BOXに入れなくてもスポットが明るいのデジカメに写ります。磁石を回すとスポットが0.5mm位ずれるのが確認できました。この磁石は強力なネオジムなので10cm位離れていますが、電子の軌道に影響を与えます。電子の広がりを確認するためなら実用になりそうです。
アライメントを再度調整したところ、ほぼ真ん中でほぼ円形で発光しています。ただし、何かちらちらしているように感じます。加速電圧が何処かでリークしているのかもしれません。次回、オシロで測定してみます。